次世代・電動化を支える高機能性材
EVの航続距離延伸、航空宇宙分野の軽量化、スマートグリッドの高効率化。電動化が進むほど、コア材料には「高い磁束密度」「低い鉄損」「量産に適した加工性」という、両立が難しい三つの性能が同時に求められます。
小牧鋼材は、この課題に対して複数の高機能磁性材料を用途に応じて使い分けることで、最適解をご提案しています。
高機能性材における環境貢献は、材料そのものの低炭素化だけでなく、電動化製品の効率を引き上げることによる社会全体でのエネルギー消費削減、という側面も持ちます。Aperam IMPHY AFKシリーズによる高出力密度化、アモルファス材による無負荷損失の低減は、いずれも最終製品の運用段階における省エネルギーに直結します。私たちは、素材選定の一つひとつが社会全体のエネルギー効率を左右するという意識を持ちながら提案しています。
Aperam IMPHY® AFKシリーズ
Aperam IMPHY AFKシリーズは、コバルトを最大49%含有する鉄コバルト(Fe-Co)系軟磁性合金です。既知の磁性材料の中でも最高クラスとなる飽和磁束密度2.4T(AFK502R)を実現し、モビリティ・航空宇宙分野における質量と体積の制約を打ち破ります。
特長
① 業界最高水準の飽和磁束密度
AFK502Rは飽和磁束密度Bs最大2.4T。
同じ出力でもコアを小型・軽量化でき、モーターやジェネレーターの高出力密度化に貢献します。
② 用途に応じて選べる豊富なグレード
コバルト含有量49%のAFK502Rから、コストパフォーマンスに優れる低コバルト系のAFK18まで、要求性能とコストバランスに応じてグレードを選択いただけます。
③ 高強度を実現するフルプロセス材
フルプロセス(FP)材は、降伏強さ最大950MPaという高い強度を実現。高速回転するロータなど、機械的な負荷が大きい部位にも対応します。
④ 加工ロスを減らした
Aperamが保有する特許「Slinky(スリンキー)工法」。Slinky工法とは、直線性状に歯形を打ち抜いた薄帯(ストリップ)を、面内ヘリカル(螺旋状)に曲げながら巻き上げて円筒状のステータコアを成形する加工技術です。Slinky工法(直線打ち抜き+面内ヘリカル曲げ)を適用すると、スクラップ率を10%〜30%にまで激減させることができます。コバルトを約49%含む高価なAFK 502材において、この歩留まり向上は莫大な製造コスト削減をもたらします。

スペック(AFK502R/公式データシートより)
| 項目 | 数値 |
| 組成 | Co 49% / V 2% / Fe Bal. |
| 飽和磁束密度 Bs | 最大 2.4T |
| キュリー温度 | 900℃ |
| 電気抵抗率 | 40 µΩ・cm |
| 密度 | 8.12 g/cm³ |
| 鉄損(400Hz/1.5T) | 42 W/kg |
| 硬さ(Hard材) | HV 400 |
| 降伏強さ(フルプロセス材) | 最大 950 MPa |
| 標準納入形態 | 厚み 0.10〜1.50mm/幅 10〜230mm/長さ 500〜3500mm |
アモルファス(Metglas®系軟磁性材料)
アモルファス金属は、約100万℃/秒という超急冷凝固によって、結晶化させずに作られる非晶質の金属材料です。結晶粒界や磁気異方性を持たないため磁壁移動が極めて容易で、保磁力・ヒステリシス損失が極めて小さいという特長を持ちます。
特長
① 圧倒的な低鉄損
代表グレード2605HB1Mは、保磁力1.5A/mという極めて小さい値を実現。無負荷損失を抑えることで変圧器の発熱を抑制し、長期運用時の省エネルギーに貢献します。
② 30年を超える運用を見据えた省エネ効果
配電用変圧器は数十年単位で稼働し続けます。無負荷損失のわずかな差が運用期間全体では大きな電力削減効果につながります。
③ 極薄・高精度なストリップ供給
標準厚み25µmという極薄のストリップで供給。巻コア用途に最適化された形状精度で提供します。
スペック(2605HB1M)
| 項目 | 数値 |
| 組成 | Fe-Si-B(非晶質) |
| 飽和磁束密度 Bs | 1.63T |
| 保磁力 Hc | 1.5 A/m |
| 電気抵抗率 | 1.20 µΩ・m |
| 標準厚み | 25µm |
| キュリー温度 | 364℃ |
| 引張強さ | 2,100 MPa |
AFKシリーズとの違い(簡易対比)
飽和磁束密度を優先し、モーター・発電機のような回転機用途で高出力密度が求められる場合はAperam IMPHY AFKシリーズ、無負荷損失の低減を最優先する静止機器用途にはアモルファス材が適しています。